disconstruction of the felicity

残暑(恋日記)

刹那に満たない一瞥の中で表象された人間らしい息遣いや視線による放熱が、砂浜を打つ波のように押し寄せる。私は現に、清らかな肌、熟れたばかりの果実色の頬を、この目で捉えている事が信じられなかった。汗をかかない体質なのか脂気もない。私は視界に入るたびに、それらを追うことはせず、視野の中で影を眺めていた。